耕地生産部
【概要】
 耕地生産部門には村松ステーションと新通ステーションの2つのステーションがあり、それぞれ五泉市(旧村松町、新潟大学から45km)、新潟市西区新通(新潟大学から3km)に所在しています。村松ステーションは16haの圃場を有し、食用作物(ダイズ、ジャガイモ)、野菜類(ナガネギ、スイカ、ダイコン)および牧草を作付け、乳牛(子牛を含め26頭)やヤギを飼育しています。新通ステーションは2.7haの圃場を有し、水稲を中心に作付けし、転作作物としてタマネギ、エダマメ、ソラマメ、サトイモ、トマト、ナス、キクなどの野菜を栽培しています。一部は施設栽培で取り組まれています。春季には草花やハーブの苗生産も行っています。
 2020年度の主な作物の生産概要は、水稲(新通STA):9,732kg/年、生乳(村松STA):70,700kg/年、牧草(村松STA)256,847kg/年、畑作物(村松STA):ジャガイモ2,997kg/年、スイカ 4,631kg/年、大根2,635kg/年、サツマイモ2,102kg/年 などとなっています。

〈気象および土壌〉
村松ステーション:平均気温13.2℃、降水量1,788mm、積雪70cm、標高25m、黒ボク土壌

新通ステーション:平均気温13.2℃、降水量1,770mm、積雪20cm以下、標高-1m、沖積土壌

【農場風景】
村松ステーション


新通ステーション




【教育・研究】
 農学部の全学生が受講可能な「基礎農林学実習」は基礎的な内容で農作業体験を目的に両ステーションで開講されます。また、植物生産学、動物生産学および農業機械学を専攻する学生の専門的な実習も開講しています。研究について、耕地生産部では播種から収穫まで、また出産から牛乳生産までの農業生産の全過程を対象に環境負荷の少ない持続的農業に関する研究を行っています。村松ステーションでは、耕畜が連携した資源循環型酪農について乳牛の繁殖性向上のための卵巣機能やホルモン濃度の測定、カウコンフォート(乳牛の快適性)を考慮した飼養管理の評価、エコフィードの評価試験、酪農教育活動の研究を行っています。また、五泉産サトイモの連作障害回避の実証試験を継続しています。新通ステーションでは稲作における水管理や肥培管理、環境に配慮した野菜栽培技術について研究しています。


                村松ステーションでの実習風景(土壌調査・牧草調査・搾乳)


               新通ステーションでの実習風景(田植え・ソラマメ収穫・稲刈り)

【地域連携・社会貢献】
 村松ステーションでは五泉市と連携し、地域中学校の食農教育実習(写真①)や児童・園児、市民向けの酪農教育プログラム(写真②)、若者ワークショップ等を実施しているほか、学校給食用の野菜やごせん桜工房のジェラート用牛乳を提供しています。また、五泉市のブランド野菜であるサトイモの連作障害対策について試験調査を行い(写真③)、新規ブランド野菜としてジャンボニンニクの導入を提案しています。さらに、年に一度、農場の農産物を販売する農場一般公開を行っています(写真④)。新通ステーションでは、園児の農業体験や親子農業体験を毎年開催しています(写真➄)。また、地域の酒造会社と連携し、新潟大学自然科学研究科大学院教育のプロジェクトとして農場で栽培した酒米品種’越淡麗’を使用した大学ブランドの日本酒‘新雪物語’を出しています(写真⑥)。他に、村松・新通ステーション共同で、キャンパス市を開催し、地域・大学との交流を行っています。近年、JICA草の根技術協力事業に参画し、中国黒竜江省における環境保全型農業の推進に携わっています(写真⑦)。

       
         写真① 地域中学生の農業体験実習                 写真② 児童・園児の牧場見学   

  写真③ 五泉市でのサトイモ連作障害の試験調査            写真④村松ステーションの農場開放・農産物販売
 

                      写真➄ 新通ステーションでの親子農業体験


    写真⑥ 大学ブランドである’新雪物語’の酒作り   ➆ 中国黒竜江省でのJICA草の根技術協力