(農業施設,40巻1号,57-65頁,2009)

Development of Automatic Irrigation Systems for Netted Melon Cultivation in Greenhouse Using Fuzzy Controller

Kazuhiro NAKANO, Takako AIDA, Digui YANG, Shintaroh OHASHI and Qingyun CHEN


要 旨

 日本のネットメロンの価格は,その品質により大きく変動する。ネットメロン栽培時のハウス内土壌水分管理は篤農家の熟練技術や経験が必要とされる難しい作業であり,特に砂質土壌の場合はさらに困難となる。本研究では,篤農家から抽出したノウハウを用いてファジィ制御方式の灌水システムを構築し,ON-OFF制御や篤農家の手動灌水(慣行区)と比較した。実験は,砂質土壌でのハウス栽培について行われた。メロン栽培の生育ステージごとに土壌水分制御の目標範囲を設定した。ファジイ制御区では,日射量,土壌水分,ハウス内温度および大気圧などの環境データに基づくファジィルールにより土壌水分の変化量を予測した。ON-OFF制御区では,土壌水分が目標範囲より下回っているかどうかを灌水の指標とした。慣行区の総灌水量と比較した結果,ファジィ制御区で48.7%,ON-OFF制御区で16.5%という節水率となった。果実糖度と外観等級については,両制御区とも慣行区と同等の結果が得られた。以上により,本研究で開発されたファジィ制御方式では,灌水作業時間の短縮や節水効果などが認められ,ネットメロン栽培に非常に有効であることが示された。



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