ケーシング工場見学の感想

林 弘樹

 8/31(日)〜9/2(火)にかけて、西海先生と私たち畜産製造学研究室の4年生4人(石山、江口、小林、林)と1日(月)に金さん、麻布大学の坂田先生が合流し兵庫県川西市にある新亜細亜貿易株式会社川西工場を訪れた。そこでは、ケーシングについての新潟大学と麻布大学での情報交換、研究成果の発表、ケーシングの製造過程見学を行った。
 昔も今も変わらずケーシングは主に中国からの輸入が大部分を占めているのが現状である。日本の食生活は量から質が重視されるようになってきており、日本に入ってくるケーシングは質が良く、きびしい品質検査を通過したもののみとなっていることを知った。逆に悪いものはヨーロッパなどに行くようである。
 過去のケーシングのデータからは中国産のケーシングが豚腸、羊腸の両方で破断応力、コラーゲン含量などの、数値が他の原産のケーシングよりも高い数値を示し、生化学的な面、熱安定的な面、機械的強度の面からも中国産のケーシングが硬いことが立証されている。経験的に10年ほど過去と現在のケーシングを比較すると、柔らかくなってきているようであるので、それが本当にそうなのかを調べていきたい意欲が湧いた。
 ケーシングにはさまざまな原産国のものがあるが、その中で過去10年ほどのケーシングと現在のケーシングとのデータの比較を研究テーマにしている自分にとっては、今回のこの先生方のお話はとてもいい糧になったと思う。しかしながら同時に先生方の話について行けず勉強不足を痛感することにもなった。自分の知っていた知識、やっている研究だけでの守備範囲は狭く、ケーシングの流通面、衛生面等の着眼点を持ち、広い視野で、さまざまな考え方をしていくことが今後、自分自身の実験でも生活面でも改善していく点だと思った。
 ディベートの後は工場見学を実際に目の当たりにできた。ケーシングの製造工程は、腸引き→汚物絞り→発酵→こき→水さらし→水通し→塩くれ→水切り→束絞りの全9工程からなるのだが、ここの工場では発酵しているタンクが運ばれてきて、こき(発酵が適度に進んだら、筋肉層、粘膜層などの不要部分をそれぞれ剥離し除去する)〜塩くれ(腸にまんべんなく塩を振りかけながら塩を練りこむ)までの工程を見ることができた。
 発酵の前段階はここでは行ってはいないと思うが、塩くれのあとの工程がやっているのかは今になって思えば定かではない。すいません。
 工場内で一番印象に残っているのは水通し(腸管内に水を通し、腸管を洗浄するとともに、品質の検査を行い、破れ傷、こき傷、十二指腸や回腸部に屈曲のひどい箇所があるとき、または腸膜の厚い部分があるときはその箇所から切断する)の工程であった。腸の一本一本を人の手を介して選別していること、腸の口径はだいたい羊腸で20/22mmほどで口を手で開くのは意外にも自分は手こずるのだが、現場にいた方々は意図も簡単に素早く作業をこなしており圧巻だった。そこで腸を手で簡単に開くコツをお聞きしたのだが、慣れだと軽くあしらわれてしまった。
 工場見学を終えた私たちは急いで三宮に向かい、何としても行きたかった生田神社へお参りに行くことができた。各々のお願いを神様に伝えお守りを買いもう満足である。
一汗かいたところでホテルにチェックイン。その後すぐさま三宮、神戸の町へいざ出発。今回の旅の第二の目的、『西海先生出身の兵庫県の中の神戸を満喫し、港町の大人の夜を味わう』を遂行した。センター街はさすがに女の子のショッピングのテンションについていけず、一人自分の世界を彷徨っていたが・・まぁ、いい買い物ができたのでよかった。中華街を食べ歩きし、周囲の視線なんか気にせず、いかにも田舎者感を醸し出し楽しく時を過ごせたので中華街にはいい印象を持てた。
 自分が一番楽しみにしていたのはなんと言っても夜景で、メリケンパークに行きモザイクガーデンのネオンや観覧車や輝き満ちている船やポートタワーを見たときはとてつもなく感動したのを覚えている。京都、横浜についで好きな都市として個人的に認定した。神戸の街の散策はこのあたりで終わりで実に濃い内容の一日になった。宿への帰り道は、自分がストリートアーティストの方に人生相談をうけてもらったり、読売新聞の記者に街頭インタビューをうけたりと思ってもみなかった出来事も起こった。
 9/2(火)はただ神戸から新潟へ帰るだけの一日となったが、SAごとでの休憩も車中も楽しく会話ができて時間がかかったわりには早く帰宅できた感じがした。途中まさかの一人海水浴やまさかの自宅訪問の展開は予想もしなかったがそれもまた良き旅の思い出として忘れないと思う。
 このケーシング旅行でお忙しい中時間をつくってくださり、貴重なお話、機会をくださった新亜細亜貿易株式会社川西工場のユン社長、麻布大学の坂田先生に厚く御礼もうしあげます。また、道中僕たちにいろいろ案内をしていただき、長距離に渡りドライバーをしていただいた西海先生に感謝いたします。この旅行で良き思い出を共に作ってくれた同輩の皆に感謝いたします。





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