大学の世界展開力強化事業(トルコ)

目的・概要等

本事業の目的

現地幹事校

アンカラ大学
トルコ農学教育の権威
エーゲ大学
トルコの有機農業を担う
中東工科大学
中東の防災教育を先導

事業主幹校

新潟大学
農業復興・防災・災害復興に貢献
国内外インターンシップを含む
農食専門人材育成
福島大学
災害復興を担う
グローバル人材育成
地域産業復興に貢献

グローカル(GLocal)な視点で
しなやかに対応できる能力
“レジリエンス”を有する農学人材を養成

目的

世界のどこでも起こりうる災害や変化にしなやかに対応できる能力=レジリエンスが注目されている。我が国とトルコの農業や食料・食品生産は、地震、津波、洪水などの様々な災害リスクに晒されている点で共通しており、同時に農産物市場に対する国際的規制緩和等への対応をも迫られている。これら諸問題に包括的に対応できるレジリエントな人材の育成は、今後、両国にとって必要不可欠である。本事業では、農業先端技術を身につけ、両国がそれぞれ積み上げてきた経験と知恵を尊重する農食・防災技術を学び、様々な困難な課題に対処できるレジリエンスを身につけたグローバルな農食スペシャリストの育成と教育フレームワークの構築を目的とする。

背景

トルコは世界有数の農業国であり、災害多発国である。近年、過度の集約的農地利用や砂漠化等による土壌劣化が進行している。防災的土地利用の考えは希薄で、農地の自然災害発生への備えは殆どない。他方、地域の種子を大事にし、麦わらなど有機物資源を循環させた大規模有機農業を実践して、EU諸国への高品質な有機農産物・加工食品の輸出を伸ばしている。我が国では大震災以降、伝統的な土着技術を利用した効率的な防減災技術が見直され、地域の特性を活かし防災を意識した農地集積・規模拡大等、農村・農業基盤の強化が議論されている。土砂災害・水害のハザードマップや保全対象の被害を含むリスクマップ作成等の基礎的技術と、地域の伝統的な土着技術(例えば新潟県中越地方の農地宅地保全のための伝承「のげる」)を融合させた安価で効率的な防減災技術が注目されている。さらに、持続可能な環境保全型農業(有機農業も含む)への転換、有機農産物生産等の付加価値を生む第6次産業化促進による海外展開力の強化も重要な課題となっている。

新潟や福島は我が国の代表的な農業県で自然災害多発地域である。新潟大学では学長のリーダーシップの下、フィールド実践教育とインターンシップ主体の農食専門人材育成や、国内外の防災・災害復興からの地域振興をミッションに掲げて推進している。福島大学では学長の主導により、経済経営学類を中心に農業経済・地域振興・復興農学を強みとしたグローバル人材育成と農食教育プログラムを進めている。アンカラ大学はエーゲ大学とともに有機農業を中心とした持続可能農業・食料生産の教育研究の中心であり、大規模有機農業を学ぶことができる。中東工科大学は中東地域で最も防災教育が充実した大学であり、トルコの土着農業防災技術を掘り起こすに最適な教育研究機関である。本事業で日土5大学がそれぞれの強みを発揮し、農・食・防災・復興分野の視点を組合せてレジリエンスを発揮するグローバル農食人材の育成と教育フレームワークの構築が実現する。

概要

本事業では双方向プログラムを用意し、派遣・受入とも学部学生から博士後期学生までを対象とした短期(2-4週間)、中期(3-5ヶ月)、長期(6-12ヶ月)のコースを設け、単位互換を行う。トルコの学生は日本の農業ITを含む先端的農業基盤、農食バイオテクノロジー、農地と宅地保全のための伝承と技術を含む防災・復興の仕組み等を、日本の学生は有機農業大規模経営、EUに対する市場開拓の取組みを学び、トルコの土着防災技術を共修する。短期コースはローカルな課題をグローバルな視点から議論し、解決策を提案するグローカルな課題解決型(GLocal Project-Based-Learning)プログラムとし、中・長期コースでは研究に重きを置く。受入学生には非常食・災害食を得意とするホリカフーズ㈱等、派遣学生には大規模有機農業経営企業Rapunzel社等でのインターンシップを用意する。

養成する人材像

  1. 他国の経験・知恵を尊重し、それらを先端技術と共に有効に活用して課題を解決できる人材
  2. トルコや我が国、ひいては世界の農食発展、防災・復興に貢献し、経済発展に資するグローバル人材