大規模流域における氾濫解析手法の開発

 近年の気候変動に伴う豪雨災害が頻発・激甚化し,全国各地で甚大な洪水被害が発生している.わが国では,国・都道府県・企業等あらゆる関係者が一体となり治水対策を行う「流域治水」が推進され,その取組みの1つである「田んぼダム」が注目されている.低平地における農業主体流域では先行研究で開発された「内水氾濫解析モデル」によって取組みの評価が行われているが,モデル作成に係る労力に加え,計算負荷が大きいため,対象は最大でも3万ha程度の流域に限られていた.流域治水では大規模河川流域における評価が求められるため,より広範囲な流域に適用した新たな計算方法の開発が不可欠である.

 本研究では,内水氾濫解析モデルに従来の精度を維持しつつ,モデルの構築にかかる労力計算負荷を軽減する手法を開発することで,大規模流域に適用可能なモデルを構築する.