佐渡島では,朱鷺の重要な餌資源の一つであるドジョウの保全活動を展開しているものの,中干し期の強制落水に伴って,ドジョウが朱鷺の餌場である水田から排水路へ流出するという問題を抱えている.また,近年,加茂湖の富栄養化の進行に伴って牡蠣の生産量が減少傾向にあり,汚濁負荷源として,水田からの土壌流出が懸念されている.こうした中,両問題の解決策として「田んぼダム」が注目されている.田んぼダムは田面水の流出量を抑制するため,圃場内の発生流速が小さくなることから,土壌流出に加えてドジョウの流出の抑制も期待できると考えられる.しかし,土壌流出抑制効果の検証事例は少なく,ドジョウについては検証されていない.本研究では,佐渡市の新穂西部に試験水田を設定して,田んぼダムの(1)ドジョウの流出抑制効果,および(2)土壌流出抑制効果を現地調査によって定量化する.