第2回新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラムの概要

 2012年3月10日(土)に,第2回新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラム(農学部附属フィールド科学教育研究センター共催)を開催しました.今回は,米生産における温暖化対策,光合成促進技術および環境制御施設による植物生産について第1線で活躍されている5人の先生方,酒井英光氏,野水幸一氏,山田真氏,岩本嗣氏,後藤英司氏にご講演をお願いいたしました.酒井氏は,大気 CO₂濃度を増加させる開放系大気 CO₂増加(FACE)実験の成績をふまえて,高温による負の影響を低減し,高 CO₂による正の効果を最大限に活用することが,将来予想される気候変動に対する作物生産の適応策であると述べられました.野水氏からは,植物の光合成活動を促進するには,施設内の CO₂濃度を上昇させる事が効果的であるが,比較的小規模な農家に安全・安価に供給できないものかという発想から生まれたファンヒーター型炭酸ガス発生器(光合成促進機)についての紹介がありました.山田氏は,ビニルハウスやガラス温室などの施設栽培における総合的害虫防除・雑草管理の考えや最新の人工光を活用した病害虫防除技術について紹介されました.岩本氏は,新潟県で育成されたイチゴ品種 ‘越後姫’ の環境制御による安定生産技術についてわかりやすく紹介されました.最後に,後藤氏は,光源に人工光を用い,養液栽培を導入して,植物生育に必要な気温,湿度,光強度,ガス濃度,気流,培養液条件をコンピュータで制御して,高品質の作物を計画生産できる植物工場の現状と将来的な展望についてお話されました.それぞれ最新の研究開発の現状をわかりやすくご紹介いただき,今後の農業のありかたについて感じ,考えさせられました.
 本フォーラムには,刈羽村の方々,新潟県農業総合研究所,新潟明訓中学校,県内企業および園芸組合などから約80名の参加者があり,盛会のうちに終えることができました.ご協力,ご参加くださった皆様に心から感謝申し上げます.
 当日のフォーラムの様子を以下にまとめましたので,ご覧ください.
 
2012年3月19日
新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター長
三ツ井 敏明

環境制御による植物生産と地球温暖化を見すえた今後の展望

第2回 新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラム
環境制御による植物生産と地球温暖化を見すえた今後の展望
主催:新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター
共催:新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター
後援:刈羽村
2012年3月10日(土)
新潟大学 自然科学研究科 管理・共通棟 大会議室

開会挨拶・フォーラム趣旨説明

13:30 - 13:35

  • 三ツ井 敏明 教授 新潟大学 農学部
    三ツ井 敏明 教授
    新潟大学 農学部

新潟大学農学部長挨拶

13:35 - 13:40

  • 新村 末雄 教授 新潟大学 農学部
    新村 末雄 教授
    新潟大学 農学部

講演

司会 : 狩野 直樹 准教授 (新潟大学 工学部)

13:40 - 14:05
地球温暖化がイネ生産に及ぼす影響

  • 酒井 英光 氏 (独)農業科学技術研究所 大気環境領域
    酒井 英光 氏
    (独)農業科学技術研究所 大気環境領域

14:05 - 14:30
灯油燃焼技術から生まれた光合成促進機

  • 野水 幸一 氏 ダイニチ工業株式会社
    野水 幸一 氏
    ダイニチ工業株式会社

14:30 - 14:55
農業における光を利用した病害虫防除技術

  • 山田 真 氏 パナソニック株式会社
    山田 真 氏
    パナソニック株式会社

15:05 - 15:30
環境制御による ‘越後姫’ の安定生産技術

  • 岩本 嗣 氏 新潟大学 農学部附属フィールド科学教育研究センター
    岩本 嗣 氏
    新潟大学 農学部附属フィールド科学教育研究センター

15:30 - 15:55
人工光型植物工場における高付加価値植物の生産

  • 後藤 英司 氏 千葉大学大学院 園芸研究科
    後藤 英司 氏
    千葉大学大学院 園芸研究科

約80名が参加し,活発な質問もあり,盛会に終えることができました.

閉会挨拶

15:55 - 16:00

  • 品田 宏夫 氏 刈羽村長
    品田 宏夫 氏
    刈羽村長