第7回新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラムの概要

 2016年8月27日(土)に,第7回KAABフォーラム(刈羽村・新潟県後援)を開催しました.今回は,「農業バイオとオミクス ~先端技術による農業バイオの新展開~」と題して,新潟大学農学部大講義室にて実施しました.
 フォーラム開催に先立ち,高橋均 新潟大学理事および品田宏夫 刈羽村村長からご挨拶がありました.高橋 理事からは「農学のバイオサイエンスも脳学のバイオサイエンスも同様な解析技術を用いて行われており,共通に理解できる点が多い.本フォーラムを通じて新潟における農学オミクスがさらに発展することを期待する.」,品田 村長からは「刈羽村と新潟大学との連携の中で様々な検討を経て刈羽村共生事業におけるKAAB研究施設の建設を決定した.刈羽村・新潟大学の連携がさらに深まることを期待する.」と,それぞれKAAB活動に対する激励の言葉をいただきました.  講演会では,まず,オーガナイザーの新潟大学農学部の伊藤紀美子 教授より,本フォーラムの開催趣旨の説明とKAABにおける多様なオミクス研究の紹介がありました.続いて,「コメの白濁化とプロテオーム」について,KAABセンター長が講演しました.次に,新潟県農業総合研究所作物研究センターの白矢武士 主任研究員から,「遺伝子発現解析による稲の健康診断技術」と題して,遺伝子レベルでの高温登熟障害の発生要因の解析と,イネの生育期間中にコメの品質や物性の診断を可能にする農業版『遺伝子発現マーカー』の開発に向けた試みが紹介されました.また,石川県立大学の高木宏樹 助教より,「次世代シーケンサーが開くゲノム育種の扉」と題して,MutMap 法による遺伝子単離技術の原理および MutMap 法を活用して育成されたイネ品種である耐塩性ひとめぼれ『海神』が紹介されました.最後に,公益財団法人岩手県生物工学研究センターの高橋秀行 主任研究員より,「リンドウの安定生産に向けたメタボロミクス技術の利用」と題してお話しがありました.これまで知られていなかった休眠調節機構や,近年発生した原因不明の病害に関する調査を中心に,メタボロミクスを利用したリンドウ栽培への新たな取り組みが紹介されました.それぞれ農業現場へのオミクスの活用に関して示唆に富む大変興味深いご講演でした.それぞれの講演後にフロアーから多数の質問があり,オミクスに対する関心の高さが改めて浮き彫りになりました.
 最後に,渡邉剛志 新潟大学農学部長から閉会のご挨拶がありました.高橋 理事,品田 村長,そしてフォーラムに参加されたすべての方々へのお礼とともに,「KAABの活動をはじめ,農学部の取組みは学内外で高い評価を得ている.今後も農学部をアピールする魅力的な取組みをさらに積極的に実施してほしい」と述べられました.
 本フォーラムには,村上市,新発田市,刈羽村農業関係者,新潟県研究機関関係者,大学生,高校生,大学関係者など82名の参加者がありました.濃密な議論も行われ,大変有意義な講演会となりました.ご協力,ご参加くださった皆様に心から感謝申し上げます.
 当日の写真記録を以下にまとめましたので,ご覧ください.

2016年8月31日
KAABセンター長 三ツ井 敏明

農業バイオとオミクス〜先端技術による農業バイオの新展開〜

第7回 新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラム
農業バイオとオミクス
〜先端技術による農業バイオの新展開〜
主催:新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター/新潟大学農学部
後援:刈羽村
日時:2016年8月27日(土)
会場:新潟大学農学部 C110講義室

開会挨拶

13:30 - 13:40

  • 髙橋 均 新潟大学 理事
    髙橋 均
    新潟大学 理事
  • 品田 宏夫 刈羽村・村長
    品田 宏夫
    刈羽村・村長

講演

  • 司会・座長:伊藤 紀美子 新潟大学農学部 教授
    司会・座長:伊藤 紀美子
    新潟大学農学部 教授

13:40 - 14:00
「農業バイオにおけるオミクスとKAABの活動」

  • 伊藤 紀美子 新潟大学農学部 教授
    伊藤 紀美子
    新潟大学農学部 教授

14:00 - 14:40
「コメの白濁化とプロテオーム」

  • 三ツ井 敏明 新潟大学農学部 教授
    三ツ井 敏明
    新潟大学農学部 教授

14:40 - 15:20
「遺伝子発現解析による稲の健康診断技術
~トランスクリプトミクスによる白未熟粒発生要因の解明と農業技術への活用~」

  • 白矢 武士 新潟県農業総合研究所作物研究センター 主任研究員
    白矢 武士
    新潟県農業総合研究所作物研究センター 主任研究員

15:30 - 16:10
「次世代シーケンサーが開くゲノム育種の扉
〜イネにおける有用遺伝子の単離と品種開発の新技術〜」

  • 高木 宏樹 石川県立大学 助教
    高木 宏樹
    石川県立大学 助教

16:10 - 16:50
「リンドウの安定生産に向けたメタボロミクス技術の利用」

  • 高橋 秀行 公益財団法人 岩手県生物工学研究センター 主任研究員
    高橋 秀行
    公益財団法人 岩手県生物工学研究センター 主任研究員

閉会挨拶

16:50 - 17:00

  • 渡邉 剛志 新潟大学 農学部長
    渡邉 剛志
    新潟大学 農学部長

会場の様子