第4回新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラムの概要
2013年8月31日(土)に,第4回新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラム(新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター 共催)を開催しました.今回は,刈羽村ラピカ文化ホールを借用して実施しました.講演会では,「ファイトレメディエーション ~植物機能を活用した環境保全・浄化技術の展望~」と題して,本分野において第1線で活躍されている東京大学大学院農業生命科学研究科の中西啓仁先生,新潟県農業総合研究所の本間利光先生,新潟大学工学部の狩野直樹先生および山際和明先生からご講演いただきました.狩野先生は,ファイトレメディエーションの概要や意義,有効性などについて説明されたあと,植物を用いたヒ素や重金属の汚染土壌(水)の修復法の検討に関する基礎研究の一部を紹介されました.中西先生は,四大公害病のひとつである「イタイイタイ病」の原因物質であるカドミウムのイネにおける吸収メカニズムについて解説されました.OsNRAMP5 というトランスポーターが,イネ根において土壌中のカドミウムを吸収する主要なトランスポーターであり,この OsNRAMP5 トランスポーターの遺伝子の発現を変化させることで,ファイトレメディエーションに応用できる高カドミウム集積性のイネや,一方で,カドミウムをほとんど含まないイネを開発できるというお話は大変興味深いものでした.本間先生は,水田においてカドミウム吸収能の高い稲を栽培し,土壌を浄化する技術を検討した結果について紹介されました.最後に,山際先生から,人工湿地による排水処理について,アゾ染料を含む廃水を人工湿地で処理する方法,さらに,酸素を人工的に供給する効果やヨーロッパでの利用状況,人工湿地微生物を使った燃料電池による電力の回収等について紹介がありました.講演会はなごやかな雰囲気で進められ,参加者からもカドミウムを吸収しないイネの試験栽培の状況等について質問があり,大変有意義な講演会となりました。
本フォーラムには約50名の参加者があり,盛会のうちに終えることができました.ご協力,ご参加くださった皆様に心から感謝申し上げます。
当日のフォーラムの様子を以下にまとめましたので,ご覧ください.
2013年9月3日
新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター長
三ツ井 敏明
第4回 新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターフォーラム
ファイトレメディエーション
植物機能を活用した環境保全・浄化技術の展望
主催:新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センター
共催:新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター
後援:刈羽村
日時:2013年8月31日(土)
会場:刈羽村 ラピカ 文化ホール
開会挨拶
13:30 - 13:35
-
三ツ井 敏明
新潟大学 農学部 教授
新潟大学農学部長挨拶
13:35 - 13:40
-
新村 末雄
新潟大学 農学部 教授
講演
-
司会・座長 : 中野 優
新潟大学 大学院自然科学研究科 准教授
13:40 - 14:00
ファイトレメディエーションの概要と植物によるヒ素浄化
-
狩野 直樹
新潟大学 工学部 准教授
14:00 - 14:30
イネによるカドミウム吸収のメカニズム
~カドミウム集積においてキーとなる遺伝子 OsNRAMP5~
-
中西 啓仁
東京大学 大学院農学生命科学研究科 特任准教授
14:40 - 15:10
カドミウム高吸収稲を利用した水田土壌の浄化
-
本間 利光
新潟県農業総合研究所 専門研究員
15:10 - 15:40
人工湿地による廃水処理について
-
山際 和明
新潟大学 工学部 教授
15:40 - 15:55
総合討論
閉会挨拶
15:55 - 16:00

刈羽村 村長
