HOME | 楽しく学ぶ食育 | 第2回「新潟の味を伝える<初夏>ー笹だんごとお茶」

食育セミナーのご紹介

新潟大学地域連携フードサイエンスセンターでは、大学生向けの食育セミナーを定期的に開催しています。
食育セミナー当日の様子をご紹介します。

第2回大学生のための食育セミナー

テーマ「新潟の味を伝える<初夏>―笹だんごとお茶」

  • 日時/2013年6月1日(土)
    第1部(午前10時〜正午)・第2部(午後1時〜3時)
  • 場所/新潟大学教育学部105講義室・教育学部調理実習室
  • ファシリテーター/山口智子(教育学部 准教授)
  • 参加者/第1部 77名・第2部 41名

当日のプログラム
開会の挨拶 10:00-10:05

地域連携フードサイエンスセンター長 門脇基二

第1部
講演①
「笹団子物語〜歴史・特徴について〜」 
10:05-10:50

講師:株式会社 田中屋本店 田中幸江 氏
 


 

歴史(由来)

(1)戦国武将、上杉謙信が考案した
(2)上杉謙信の家臣が考案した
(3)上杉謙信の家臣の菓子職人が考案した
(4)郷土料理としていつからか庶民が考え作り出したという説
上記4説の内、一番信憑性のある説は(4)であると推察される
 

端午の節句と笹だんご

旧暦の端午の節句に無病息災を祈って食されてきた笹だんご。5月は田植えを前に慎む物忌の月、故に香気の強い菖蒲やヨモギを軒端にさし災厄や邪気を祓い、同じ意味から笹巻のお菓子が作られるようになった。
 

笹だんごの材料

(1)笹
古くから食品の保存に使われてきた。笹の葉に含まれるビタミンKや安息香酸の抗菌、防腐効果によるもの。
薬効として健胃整腸・糖尿病・利尿・心臓病・高血圧・貧血・虚弱体質・不眠症・口臭・皮膚病・切り傷・痔・肌荒れ。
(2)ヨモギ
枯草の中でいち早く緑を萌えさせる草である。良く萌える草と言う意味から蓬となったといわれている。
ヨモギに含まれるクロロフィルは吸収されやすく、体内に入ると血行をよくして体を温め血圧を下げる効果やインターフェロンを増やし癌を抑制する効果が認められている。
薬効として神経痛・腰痛・肩こり・冷え性・生理痛・高血圧。
(3)餡
小豆は日本では吉事、凶事を問わず年中行事や儀式に用いられ魔除けにも用いられる。サポニンは水分の代謝を高めむくみを取る、皮膚の炎症を抑える作用がある。
 

特徴

500年ほど前から新潟で作られている笹だんごは笹の防腐作用により、常温で長期保存 できる食べ物である。貧しい時代に貴重な米・食糧を無駄にしない様、工夫された食べ物である。次の100年も新潟人のソウルフードとして残しておきたい食べ物と言えるのではないか。

講演②旬の味わい新茶 10:50-11:30

講師:株式会社 浅川園 古舘亨征 氏
 


 

お茶の違い

家庭ではどんな飲みものを飲むか。
生葉~紅茶、煎茶、ウーロン茶の違い。→煎茶、玉露、番茶、焙じ茶の違い。→不発酵、半発酵、発酵。
 

日本茶の種類と製法

生葉から煎茶製造工程〜→荒茶。→仕上げ茶→販売店
 

お茶の歴史

紀元前2737年はじめに発見されたお茶 解毒剤 茶の葉を食す。
日本にお茶が入ってきたのは中国から。仏教とともに伝来。
1738年、永谷式煎茶創生。今のお茶の形。後の永谷園。
1991年、緑茶ドリンクの流行。伊藤園 烏龍茶〜おーいお茶
 

主な茶産地

地図参照 種子島、島もの〜北限村上。
村上茶の歴史
 

お茶を淹れる道具
せん茶のおいしい淹れ方

 

<参考文献>
社団法人日本茶業中央会発行 ほっとひといき 日本茶入門

試食タイム 11:30-11:50

村上茶の新茶と笹だんごを味わいました。水出し冷茶の香りとすっきり感、後からくる味わい、今は珍しいきんぴらごぼうやあらめなどの入った笹団子をいただき、初夏の味覚で爽やかな気分になりました。

 閉会挨拶 11:55-12:00

教育学部 副学部長 鶴田一雄

 第2部:実習 13:00-15:00


 

 

 

作ってみよう!笹団子のレシピ

現在市販されているものの中には様々な製法がある。
主な製法は以下の3通りである。
 

  1. 餅粉と上新粉を一定の量混ぜたものに水分を加えながらこね、ヨモギと砂糖を加え更にこねる。出来た団子生地で餡を包み、この団子を笹に包んでイグサで結わえる。これを蒸して出来上がり。最も一般的で笹だんごの特性を活かした製法。
  2.  1の仕上げを蒸さずに煮る方法。団子の笹離れが良く、笹の色も青々と仕上がる。但し笹と団子の間に過度の水分が残るので団子の劣化が早い。
  3. 団子を笹に包む前に蒸し上げて食べられる状態になった物を笹で包む。笹ごと温めないので生笹を使用でき見た目に美しい。但し熱処理をしない生笹を使用することで笹にロープ菌など細菌の増殖が早く、団子の劣化につながる。団子が硬くなった場合に温められないので、団子が硬くならないように酵素剤やアミノ酸などを添加したり、これを冷凍し、解凍した段階でそのまま柔らかく食べられる様な商品もある。
  4. 笹だんごは餅粉と上新粉を混ぜて作るのが特徴だが、これがモチモチとして歯切れが良い特性になっている。この特性を推し進めるために、製造上の工夫がされる。
    粉の粒子・餅粉上新粉の比率・粉に白玉粉や小麦粉を加える・ヨモギ砂糖水分の混ぜ方・生地を寝かせる時間・団子生地と餡の比率
  5. ヒモのしばり方は2通りある。(タテしばりとヨコしばり)
    タテしばりは団子を笹で包んだ後イグサで両端を結び、中央を締めず片端からつるし団子をタテにまとめていくしばり方。かつてイグサではなくスゲで縛っていた頃の名残で比較的短い長さで縛れる方法。主に阿賀野川以北下越地区で用いられる。
    ヨコしばりは団子を笹に包み両端と中央をきちっと結び中央からぶら下げるので団子がヨコ向きにまとめられる。新潟、中越地区で用いられている。(写真参照)