グリーティング
人間が年齢を重ねると骨粗しょう症を発症するように、動物においても様々な骨に関する問題が発生します。とりわけ、ニワトリはカルシウムからなる殻を有する卵を毎日産むため、多量のカルシウムを必要としますが、加齢に伴い骨粗しょう症を発症し、卵殻も薄くなってしまいます。なぜでしょう?
そんな疑問に答えるべく、動物におけるカルシウム代謝と骨との関連を明らかにすることをめざし、日々研究を進めています。
研究分野・テーマ
1. 卵殻カルシウム供給源である骨髄骨に関する研究
鳥類では、カルシウムからなる殻を有する卵を産むため、多量のカルシウムを必要とします。産卵期では不足するカルシウムを補うため、骨髄骨(medullary bone)が骨髄内に形成され、カルシウムを一時的に貯蔵します。この骨髄骨は、どうやって形成され、そして破壊されるのでしょうか?また、それはどのようなホルモンによって調整されているのでしょうか?これまでの我々の研究により、エストロジェンやカルシトニンなどのホルモンが深く関わっていることが明らかになってきました。さらに詳細に研究を進めることにより、骨髄骨の機能と調節メカニズムが明らかとなり、これらを人為的に調節することにより健全な卵の生産に貢献できるものと考えています。また、このような研究成果は農学分野だけにとどまらず、ヒトの骨粗しょう症や恐竜の産卵生理の解明に波及するものと期待しています。
2. ニワトリの破卵と脚弱に関する研究
ニワトリは、卵や肉を生産して、人間の生活を支えています。しかしながら、近年、卵の殻が薄くなったため輸送中に割れたり、成長が早すぎるため立てなくなったりしてしまうニワトリが見られます。これらは、それぞれ破卵、脚弱と呼ばれ、年間数百億円の損害をもたらします。その発症機序は未だ不明で、十分な対策を見いだせないでいるのが現状です。研究室では、破卵や脚弱の発生機序について、分子細胞生物学や生理学的な側面から解明しようと試みています。
3. 動物のカルシウム代謝と骨に関する研究
これまで、ニワトリで得られた知識や経験を基礎に、ウズラ、トキ、ブタ、ウシ、ラット、アリゲーター等の動物も対象として研究してきました。それぞれの動物のカルシウム代謝には共通な部分と異なる部分が存在します。各動物のカルシウム代謝を比較することで、生物の進化の過程の一端が明らかにできるものと考えています。
研究業績・略歴
アルバム
リンク