教員紹介
- 応用生命科学プログラム
- 食品科学プログラム
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伊藤 紀美子
教授
担当講義:
機器分析化学Ⅰ、細胞分子生物学、生物化学実験
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イネを対象に様々な分子生物学的研究を行っています。ひとつの例として、ここではコメのデンプン合成を担う遺伝子の研究についてご紹介します。 デンプンの主成分はアミロースとアミロペクチンであり、前者は直鎖状、後者は枝分かれ構造を持つ巨大な多糖分子です。デンプンの構造形成に関わる遺伝子として、直鎖を伸長するデンプン合成酵素(Starch Synthase)、枝付けを行うデンプン枝付け酵素(Branching Enzyme)、枝きりを行う酵素(Debranching Enzyme)としてイソアミラーゼ、プルラナーゼがあります。それぞれの酵素について多数のアイソザイムと、これに対応する多数の遺伝子が存在します。アミロース分子の長さや含有量、アミロペクチンの側鎖の長さや分岐度はデンプンの物性を左右する主要な因子のひとつであり、炊飯米の食感だけでなく、食品加工の際の特性を左右します。従って、様々なデンプン合成酵素の発現や酵素機能を人工的に制御することにより、デンプンの分子設計を行い、コメの多用途化を狙うことができると考えています。
また、各酵素がデンプン構造形成・物性に関してどのような役割を担うのか、明らかにされている酵素の組み合わせを持つ複数のイネ系統のデンプンを精製し、物性を調べると、物性が互いに異なる事が分かってきました。すなわち、まだ知られていない酵素やタンパク質が物性の発現に関与している事が推定されます。そこで、物性の異なる系統からコメのタンパク質を抽出し、質量分析器を使って網羅的にタンパク質の同定を行い、系統間の比較解析を行っています。