グリーティング
高等植物は根から吸収した養水分、大気中の二酸化炭素および太陽光を利用し、生存に必要な成分を作り出している。根から吸収した養分のうち、特に必須多量元素の窒素・リン・カリは、植物の獲得機構や輸送・貯蔵・分解・利用について非常に精緻な制御機構を持っている。我々はこのような制御機構を研究し、植物の代謝制御を解明することを目的にしている。
研究分野・テーマ
ダイズにおける窒素獲得機構と貯蔵に関する研究。
ダイズは根に根粒という器官を作り、土壌中の微生物である根粒菌と共生関係を持っている。根粒は空気中の窒素を植物が利用できる形態で供給し、植物は光合成産物を根粒に与えている。根粒は渡されるウレイド(アラントイン・アラントイン酸)の形態で供給している。植物にとってグルタミンは窒素シグナルとして重要な化合物であるが、逆に窒素シグナルとなってしまうために、根粒はグルタミンを窒素の受け渡しの化合物としては利用しなかったのかも知れない。本研究ではダイズのウレイド代謝について、代謝の全貌とその制御機構を明らかにすることを目的とする。
ダイズ種子貯蔵タンパク質の集積調節機構の解析
ダイズ種子は、窒素をタンパク質の形態で貯蔵している。貯蔵タンパク質の形態として免疫学的性質の違いから、大きくβコングリシニンとグルシニンに分けられる。βコングリシニンはα’、 αおよびβサブユニットから構成される。これまでの研究により、特にβコングリシニンのβサブユニットは窒素欠乏状態ではほとんど集積せず逆に窒素が十分にあるときには多量に集積させ、集積量を変化させていることをあきらかにしてきた。本研究では集積調節を引き起こすメカニズムを分子生物学的に調査し、窒素シグナリングを明らかにすることを目的とする。
チューリップ球根におけるαアミラーゼの調節機能解析
秋植え春萌芽型球根植物であるチューリップは、正常な開花のために一定期間低温にさらされる必要がある。これは低温要求性と呼ばれる現象であり、球根はこの期間花芽の形成をおこなうことが知られている。低温期間を経験した後温度が上昇するとデンプンの分解酵素であるαアミラーゼ活性が上昇し、デンプンの低分子化が起こる。本研究では、チューリップの低温要求性が、特にαアミラーゼの転写や活性制御にどのように関係しているのかについて調査している。
対象となる学問分野:
植物栄養学・土壌肥料学・植物生理学
研究業績・略歴
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