グリーティング
近年の人口増加に加えて地球温暖化の進行によって、地球上の水の偏在化が顕著になっています。こうしたことから、21世紀は「水の世紀」だと言われています。農業生産にとって水は不可欠ですが、その量は少なすぎても多すぎても問題があります。農業水利学研究室(通称、水研)では、シミュレーション技術や地理情報システムを駆使して、農業と水に関する多くの課題の解決策を見出すために日々研究に取り組んでいます。興味のある方は、ふらっと水研に遊びに来てください。大歓迎です。
研究分野・テーマ
1. 田んぼダムによる洪水緩和と土砂流出抑制
「田んぼダム」とは、面的に広がる水田に雨水を貯めることで、下流域を水害から守る新潟県発祥の取組です。2016年現在、新潟県内の水田約12,000haで取り組まれており、県外(北海道、山形県、富山県、福井県など)でも取組が普及しつつあります。田んぼダムは、水田の水の出口に設置する流出量調整の仕掛けが鍵です。水研では、田んぼダムの仕掛けの開発や、効果の検証のほか、取組普及に求められる制度のあり方についても提案しています。
2. 水田系における放射性物質の挙動に関する研究
福島第1原発の事故によって広域に放射性物質が沈降しました。農業の水源である森林に蓄積した放射性物質はゆっくりと渓流を通って下流に運ばれます。この水を使って農業を営むのですが、農作物への影響はまだ良くわかっていません。水研は、福島県の森林流域のから流出する放射性セシウムを追跡し、また、水田に入った後にどのように振る舞うのかを研究し、安全な農作物を生産するための対策を検討しています。
3. 地域排水の「見える化」に関する研究
近年、都市域が広がり農地が減少しています。しかし、下水道等の都市域の排水施設の整備が遅れており、農業用の排水施設を使っているのが現状です。農業用の排水機場には農家負担がありますが、今までの農家負担が適性なのかについて議論が進んでいます。水には色がついていませんが、私たちが開発した「内水氾濫解析モデル」を使って各土地利用からの流出成分を目で見て分かるようにするため、移流方程式を組み込んで「排水の見える化」を行うことに成功しました。
研究業績・略歴
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