教員紹介
- 生物資源科学プログラム
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氷見 理
助教
担当講義:
農業経済学演習Ⅰ、Ⅱ(分担)
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農業生産の担い手と労働市場の関係の研究(地域労働市場論といいます)を専門としており、食料・資源経済学分野に所属しています。農業生産の担い手には兼業農家、専業農家、法人経営、集落営農など多様な形態がありますが、それらはランダムに展開しているわけではありません。時期的・地域的に一定の傾向が見られます。すなわち、戦後の日本では、農地改革により創出された自作農は工業化が進む中で兼業農家に転じていきましたが、前世紀の末から規模縮小・離農が進み、彼らが手放した農地を引き受けることで大規模専業農家や法人経営が形成されています。あるいは、西日本では早い時期から集落営農が展開してきたのに対して、東日本では個別の専業農家が厚みを持って存在しています。このような違いはどうして生じるのでしょうか?農業政策の影響や農家間の生産力格差など様々な要因を想定できますが、私は農業が他産業との間で労働力を巡る競争を行なっているという認識から、農家を取り巻く労働市場に着目して、農業生産の担い手のあり方を検討しています。
これまでの地域労働市場論の研究では、農外産業が高い就業条件を用意しているために農業は労働力を確保することが難しく、離農が進み農業は衰退してしまうと考えられてきました。しかし、今日の労働市場では雇用劣化が進み就業条件は悪化しています。こうした中で、一方では雇用劣化を機に雇用労働力を用いる農業経営が伸長しています。他方では離農した元農家の世帯員がグループを結成し、遊休農地で農業生産活動を行い追加所得稼得の機会をつくることで農業生産をセーフティネットとする、雇用劣化への対抗の動きが出現しています。このような労働市場と農業生産現場における最新の動向に潜む論理を解明し、農業の再生・発展に向けた道筋を提示することを目指して研究に取り組んでいます。