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教員紹介

  • 応用生命科学プログラム
  • 顔写真:佐藤 努
  • 佐藤 努

    教授

    担当講義:
    有機化学、生物有機化学、有機化学実験

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グリーティング

化学と生物学の境界分野(生物有機化学・ケミカルバイオロジー)の研究から、人間生活に広く利用される薬剤、機能性食品、香料、化粧品等への応用を目指しています。化学と生物の両方にまたがって、生物体内での分子の動きについて深く研究する私たちだからこそできる発見や応用があります。卒業後は、製薬、食品、化成、化粧品、香料など幅広い分野の研究者・技術者としての活躍が期待されます。 生物が、生命維持に必須なタンパク質・核酸・糖などの有機化合物(一次代謝産物)を生産するのは当然ですが、生物は生物種の違い(例えばほとんど同じ細菌でもちょっとした種の違いだけでも)によってバラエティーに富んだ有機化合物(天然物または二次代謝産物と呼ばれ、現在10万種類以上知られています)を生産します。天然物は、生産者自身の中で重要な機能を果たすもの(ホルモンやフェロモンなど)ももちろんありますが、多くの天然物は生産者自身にとっての機能がよく分かっていません。その機能不明な天然物を人間は薬剤や機能性食品素材などとして大いに利用しています。農学の中の農芸化学(詳しくは以下のURLをご覧下さい。 http://nougei.jp/pamphlet/)という分野(特に私達はその中の生物有機化学、天然物化学、ケミカルバイオロジーといった研究分野です)では、ビタミン、ホルモン、機能性食品素材の発見はもとより、薬学のイメージが強い抗生物質等の薬剤として実際に利用されている天然物なども発見してきています。 天然物探索はロマンがあります。天然物を発見したら、新しい生物を発見した時と同じように、自分の好きな名前を付けられます(既知のものと似た構造だとそれにちなんだ名前にしますが)。もし、その天然物が生産者の中で重要な機能を果たしていれば、生命現象を解明する起爆剤になります。そうでないとしても人間にとって良い生理活性があれば薬剤等として人類のためになります。日本の新規天然物の発見数は2011年の調べで世界で第1位だそうです。まだまだ分からないことが沢山あり、夢があり、そして実力もある、とてもエキサイティングな分野だと私は感じています。 天然物探索は今でも活発に行われてきていますが、発見数が昔に比べて減ってきている現状があります。私達は生合成研究(天然物がどのような遺伝子・酵素によってどのように作られているかを解析)と組み合わせたアプローチでその打開を考えています。最近は多くの生物のゲノム解析が分かってきていますので、天然物の新しい酵素を発見すると、数珠つなぎで新しい天然物を発見することが可能です。また、遺伝子工学(バイオテクノロジー)によって酵素の構造を一部改変すると本来の構造と異なる天然物(非天然型天然物)を作ることが可能となってきています。皆さんも「新しい天然物探し」や「新しい天然物作り」にチャレンジしてみませんか?

研究分野・テーマ
1.セスクアテルペン(C35テルペン)の探索と生合成に関する研究
○「テルペン」は聞き慣れない単語かもしれませんが、「テルペン」は天然に存在する物質の中で最も多い仲間です(現在5万種類以上発見されています)。その中には、メントール(香料)、タキソール(抗がん剤)、エストロゲン(女性ホルモン)、β-カロテン(色素)などよく知られている物質もたくさんあります。「テルペン」は炭素数5個づつで分類され、C5、 C10、 C15、 C20、 C25、 C30、 C40のものが知られていたのですが、最近私達はC35テルペンをバクテリアから発見しました。枯草菌のC35テルペンの生合成経路を酵素・遺伝子レベルで解明し、C35テルペンに「セスクアテルペン」という分類名を私達は命名しました。


○枯草菌のセスクアテルペン(C35テルペン)生合成に寄与するテルペン環化酵素(TS)は、既知酵素の一次構造と類似性をもたない「新型」であることも明らかにしました。その「新型」の類似酵素は、機能未知タンパク質として様々なバクテリアのゲノムに見られるので、それらの機能解析(ゲノムマイニング)から新規テルペンおよびその合成酵素を現在探し出す研究を進行中です。また、「新型」酵素の触媒機構は完全に未知なので、立体構造も含めた解析も精力的に進行中です。


○さらに枯草菌のセスクアテルペン(C35テルペン)生合成に寄与するもう1つのテルペン環化酵素(TC)は、Cのスクアレンも環化する二機能性酵素でした。2種類のテルペン類を環化するテルペン環化酵素は初めての発見でした。酵素の多機能性に着目した新規テルペンの探索を行っています。


○その後(2013年)さらにTCはスクアレンからできた二環性化合物をさらに取り込み、もう片方の鎖状部分を環化する機能があることが分かりました。オノセロイド(スクアレンの両末端から環化した化合物)合成酵素の初めての発見でした。さらに、発見された新たな機能を利用してアンブレイン(龍涎香の主成分)という希少で高価な天然物を酵素合成することに成功しました。龍涎香は、マッコウクジラの結石からできていると考えられており、商業捕鯨が禁止されている現代において「幻の香り」とも呼ばれています。詳細は生物有機化学研究室のページ(http://www.agr.niigata-u.ac.jp/~satot/index.html)に載っている新聞記事をご覧ください。


○マイコバクテリアからも枯草菌とは別のセスクアテルペン(C35テルペン)を発見してきています。初めての二機能性Z-プレニル鎖伸長酵素を発見するなどその生合成経路も大変ユニークです。特に、枯草菌のTSとも違う「新型」テルペン環化酵素を探しています。


○現在、以下のように、新規天然物探索を出発点として、「新型」と「多機能性」酵素の探索を特徴として様々な研究を展開し、有用・希少テルペンの発見・創出を目指しています。薬剤、機能性食品、香料、化粧品などへの応用が期待される研究を行っています。

研究業績・略歴

受賞

1.2012年日本農芸化学奨励賞「セスクアテルペン(C35テルペン)の探索と生合成に関する研究」:平成24年3月

2.日本農芸化学会2014年度大会トピックス賞(上田大次郎、星野力、佐藤努、スクアレンの両末端環化:オノセロイド合成酵素の初めての同定および龍涎香主成分ambreinの酵素合成):平成26年3月

3.第58回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会ベストプレゼンテーション賞(上田大次郎、星野力、佐藤努、龍涎香の主成分アンブレインの酵素合成):平成26年9月

4.第16回酵素応用シンポジウム研究奨励賞「セスクアテルペン環化酵素を基軸とするテルペン創出・応用経路の拡充」:平成27年6月

> 研究者総覧:佐藤 努
アルバム
  • 学生さんが質量分析装置(GC-MSとLC-MS)で新しい物質の構造を解析している様子
    学生さんが質量分析装置(GC-MSとLC-MS)で新しい物質の構造を解析している様子
  • 微生物の培養(写真は1リットル×3本ですが、多い時は30本以上いけます)
    微生物の培養(写真は1リットル×3本ですが、多い時は30本以上いけます)
  • 国際学会で発表
    国際学会で発表
  • 生物有機化学研究室で忘年会
    生物有機化学研究室で忘年会
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